pianoman さんの日記
2017
10月
8
(日)
19:40
本文
2017年10月8日 |
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今日のコンサートのタイトルは、『若き才能との邂逅』とある。 文字通りの意味で言えば、思いがけず出会うという意味だが、主催者の吉田様は、よくぞこの難語を選ばれたものと感服した。 藤田さんが、今年のクララ・ハスキル国際ピアノコンクールにて優勝との吉報が日本で報道されてから、まだ2か月も経っていない。 恥ずかしながら、私はそのニュースこそ知れども、藤田さんが果たしてどのような演奏をするピアニストかは存じ上げなかった。 そして、コンサートが始まったその瞬間にまさに若き才能と今日ここで出会ったことを皆が感じ、曲を追うごとにそれが確信へと変わっていったことと思う。 それゆえに、「邂逅」なのである。 きっと、吉田様は今日の聴衆のそんな驚きと喜びを予感され、このタイトルにされたのではないか。 はにかみながら入場してくる藤田さんは、まだ19歳。 あどけなさが残る、本当に柔和な表情での登場。座るなり、彼はすぐに演奏を始めた。 椅子を調整したり、鍵盤位置を確認したり、瞑想したりと、すぐに演奏を始めないタイプの演奏家も沢山いるが、彼には一切の迷いはないようだ。 まず藤田さんの手のひらが大きいということがすぐに分かった。打鍵する際の手首、指の位置も、かなり低いところからしっかりと弾いているのが分かる。 なんとなく、ホロヴィッツのスタイルに似ているように思う。 最初のモーツァルトのソナタ18番。ピアノソナタに限らず、モーツァルトは聴いていて、 とても難しいと思う。曲がシンプルゆえに、演奏家のすべてが出てしまう怖さがある。 勢いやテクニックだけでは決してごまかせない。その点、藤田さんは、くっきりと弾むようなリズムと打鍵で綺麗な音色を奏でながら、ダイナミクスも十分あり、少しベートーヴェン初期にも通じるような良い演奏であった。 次のショパンとリスト。コンクールでも弾いた曲とのこと。ここで彼のヴィルトゥオーゾ振りが遺憾なく発揮された。10本の指は、藤田さんの体とD274をひとつの楽器として結び付けており、常に確信をもって弾いているのがよく分かる。 いかに早いパッセージであろうとも、心の迷いや指のもたつきは、まったく感じられない。、練習だけでは身につかないであろう、天賦の才能を見た気がする。 テクニックがしっかりしていることはもちろん、ダイナミクスの付け方、緩急も素晴らしく、聴いている側は、スケルツォの冒頭だけで、一瞬にして惹き込まれてしまった。 フレーズからフレーズの切り替えの間合いが、とにかく素晴らしい。 聴き手は知らず知らずのうちに、息を止めて次の瞬間も聴き漏らすまいと集中して聴いてしまう。聴衆を惹きつける力は、とても19歳のものとは思えず、もって生まれた才能を感じずにはいられない。 休憩後のシューマンでは、一転して、彼がリストのようなヴィルトゥオーゾ的な曲だけではなく、ロマン派の曲にも大いに適性があることを示していた。 そして、最後はリスト・ソナタ。冒頭の動機が複雑にからみながら、大きな波が何度も押し寄せるダイナミックな作りの曲だが、彼は高い集中力で一気に弾ききった。 ここでも、彼の圧倒的な打鍵の素晴らしさで、名器D274を低音から高音まで、これでもかというくらい輝かしく、しっかりと鳴りきらせていた。まさに圧巻。楽器の持つ力を最大限に引き出す、そして、聴衆の心を鷲掴みにする。 彼には、演奏家として単に上手く楽譜通りに弾くだけでは到底生まれてこない、曲に生命を吹き込み、聴衆の心を揺さぶる力を持っていることをひしひしと感じた。 本当に将来を嘱望される若手ピアニストだ。 リストでさぞやお疲れと思いきや、3曲のアンコール。 いずれも選曲が素晴らしく、もともとのプログラムとあわせて、彼のレパートリーの広さ、適性の広さを示す結果となった。本当に色々な可能性をもった若き才能だ。 私もクラシックを聞き始めて約30年経つが、心が震えるようなコンサート、手に汗握るようなコンサート、息を止めて聴くコンサートには、それほど多く巡り合えるわけではない。今日、そんな数少ない貴重な体験ができたことは、オーナーの吉田様の慧眼のおかげに他ならず、心より感謝を申し上げたい。 ○T.I.様メッセージありがとうございました♪ ○藤田真央さん、D274の特性を瞬時に把握される天賦の才が、握手の際に手のひらを通して伝わりました。ありがとうございました。 ○サロンにお越し頂きましたすべての皆様に感謝申し上げます。 本日サロンへお集まりの、すべての皆様に感謝とお礼を申し上げます。 <プログラム>
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日時 | 2017年10月8日(日曜日)14:00- | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
演奏者 | 藤田真央 |
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今後のスケジュールは決まり次第、掲載いたしますのでご期待ください。(年間予定はこちらです)。よろしくお願い申し上げます。